借入のきっかけとして最も多かったのは「継続的な生活費の不足」であり、ギャンブルを挙げた人は1割に満たなかった。
この事実を始めとして、本アンケートで分かった以下の項目を中心に、公認会計士事務所である当サイトが発信する情報として、調査データが示す事実とその解釈だけを述べる。

本記事は全国2,000人を対象とした借入と家計に関する意識調査をもとに、借金の理由とその背景を中立の立場で整理する。
【結論】借金の理由で最も多いのは「継続的な生活費の不足」
本調査からわかった主な点は、次の3つである。
| わかったこと | 数値 | 調査・分母 |
|---|---|---|
| 借入のきっかけ最多は「継続的な生活費の不足」。 ギャンブルは1割未満 | 23.0% | 本調査・借入経験者1,526人 |
| 借入先はクレジットカードのキャッシングと家族・親族が、 銀行カードローンや大手消費者金融より多い | 29.4% 28.9% | 本調査・借入経験者1,526人 |
| 支出の把握が甘い人ほど、 月末に口座残高が不足する経験が増える | 36.7%→79.2% | 本調査・全2,000人 |
※「借入と家計に関する意識調査」。全国2,000人(うち借入経験者76.3%=1,526人)、2026年5〜6月実施。借入理由・借入先は借入経験者1,526人を分母とする。
これらの数値が示すのは、借入が一部の人の特別な行動ではなく、家計の収支構造と結びついた一般的な現象だという点である。
借金の理由を善悪で評価するのではなく、家計のどこに負荷がかかっているかという視点で見ると、実態が捉えやすくなる。
なお、本調査の回答者はクラウドワークス登録者であり、在宅就労層やネット利用層が一般人口より多い可能性がある。
数値は傾向の把握に用い、日本全体の推計には用いない。
以降では、各データの詳細と、公的統計との照らし合わせを順に示す。
この調査の概要と数字の読み方 ― 回答者2,000人のうち借入経験者は76.3%
本調査は全国2,000人を対象に、お金と支払いに関する選択式の12問をたずねたものである。調査期間は2026年5月20日から6月2日、回答はクラウドワークスを通じて集めた。
このうち借入の経験がある人は76.3%(1,526人)、経験がない人は23.7%(474人)だった。以降の借入理由・借入先の分析は、借入経験者1,526人を分母とする。
調査方法と回答者2,000人の内訳
回答者の主な属性は次の通り。
| 属性 | 内訳 |
|---|---|
| 年齢 | 40代28.4% 30代前半17.2% 30代後半15.5% 50代13.4% 20代後半13.1% 20代前半6.8% |
| 性別 | 女性57.7% 男性40.5% その他1.8% |
| 職業 | 会社員(正社員)42.8% パート・アルバイト15.9% 自営業・フリーランス13.4% 専業主婦・主夫11.4% 無職5.7% |
年齢は30〜40代が中心で、性別は女性がやや多い構成である。
本調査の限界 ― 在宅就労層への偏り
回答者の67.0%が副業の経験を持っていた。これは一般人口と比べて高く、回答者にクラウドワークス登録者、すなわち在宅就労やネット利用に親しむ層が多いことを示す。
そのため本調査の数値は、日本全体の平均そのものではなく、借入と家計の傾向を読むための材料として扱う。回答者以外を含めた全体の推計には用いない。
借入のきっかけ第1位は「継続的な生活費の不足」、ギャンブルは1割未満
- 上位は生活費の不足・大きな買い物・突発的な出費が僅差
- 「借金=ギャンブル・浪費」という通念とのズレ
借入経験者1,526人に、借入のきっかけとして最も当てはまるものを1つたずねた。最も多かったのは「継続的な生活費の不足」で23.0%、以下は僅差で続いた。
上位は生活費の不足・大きな買い物・突発的な出費が僅差

| 順位 | 借入のきっかけ | 回答者数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 継続的な生活費の不足 | 351人 | 23.0% |
| 2 | 大きな買い物(家電・車など) | 312人 | 20.4% |
| 3 | 突発的な出費(医療費・冠婚葬祭など) | 298人 | 19.5% |
| 4 | 教育費・学費 | 234人 | 15.3% |
| 5 | ギャンブル・投機 | 121人 | 7.9% |
| 6 | 旅行・レジャー | 69人 | 4.5% |
| 7 | 副業・事業資金 | 46人 | 3.0% |
| 8 | 他社借入の返済(おまとめ) | 28人 | 1.8% |
※借入経験者1,526人を分母とする。このほか「その他」が4.4%。
上位3つはいずれも生活に直結する支出であり、合わせて借入経験者の62.9%を占める。一方、ギャンブル・投機は7.9%にとどまった。
「借金=ギャンブル・浪費」という通念とのズレ
借金の理由としてギャンブルや浪費を連想する人は多いが、データ上はそれらが主因となるケースは限られる。生活費・大きな買い物・突発的な出費・教育費という、家計運営上避けにくい支出が上位を占めた。
ここから読み取れるのは、借入の多くが浪費ではなく、収入と支出の差を埋めるために生じているという傾向である。理由を個人の資質に帰すのではなく、家計の収支構造の問題として捉える視点が要る。
借入先はクレジットカードのキャッシングと家族・親族が消費者金融より多い
- 借入先トップはクレジットカードのキャッシングと家族・親族
- 「借金=消費者金融」のイメージと実態の差
借入経験者1,526人に、これまで利用したことのある借入先をすべてたずねた(複数回答)。最も多かったのはクレジットカードのキャッシングで29.4%、次いで家族・親族からの借入が28.9%だった。
借入先トップはクレジットカードのキャッシングと家族・親族

| 順位 | 借入先 | 利用した人の割合 |
|---|---|---|
| 1 | クレジットカードのキャッシング | 29.4% |
| 2 | 家族・親族からの借入 | 28.9% |
| 3 | 銀行カードローン | 26.9% |
| 4 | 奨学金(日本学生支援機構など) | 25.2% |
| 5 | アコム | 23.0% |
| 6 | プロミス | 17.9% |
| 7 | アイフル | 14.5% |
| 8 | 友人・知人からの借入 | 10.0% |
| 9 | レイク | 9.8% |
| 10 | SMBCモビット | 7.7% |
※複数回答。借入経験者1,526人を分母とする。このほか中小消費者金融1.1%、学生ローン1.0%、ヤミ金などの違法業者0.6%。
大手消費者金融のアコム23.0%やプロミス17.9%も使われているが、それ以上にクレジットカードに付帯するキャッシングや家族・親族からの借入が多い。奨学金も25.2%と高く、借入の入口は身近な手段に広がっている。
「借金=消費者金融」のイメージと実態の差
借金というと消費者金融を思い浮かべがちだが、実際の入口はカード付帯のキャッシングや身内からの借入が中心だった。違法業者(ヤミ金など)の利用は0.6%と低い。
家族・親族から借りた人のうち48.5%は、消費者金融や銀行カードローンなどの業者も併用していた。残りの51.5%は身内からの借入のみで完結している。
※家族・親族から借りた447人を分母とする併用状況。本調査の追加集計。
身近な人からの借入は「業者の代わり」ではなく、業者と並ぶ選択肢の一つとして使われている。
借入額は約6割が100万円以下、中央値帯は50〜100万円 ― 約7割が20代までに初めて借りている
- 最大借入総額は約6割が100万円以下
- 借入を始めた年齢は20代までが約7割
最大借入総額は約6割が100万円以下、中央値帯は50〜100万円
借入経験者1,526人に、これまでの借入総額の最大値をたずねた。約6割(58.7%)が100万円以下に収まり、中央値帯は50〜100万円である。
最も多い金額帯は100〜300万円で25.6%だった。
| 借入総額の最大値 | 割合 |
|---|---|
| 5万円未満 | 7.0% |
| 5〜10万円 | 10.2% |
| 10〜50万円 | 22.5% |
| 50〜100万円 | 19.0% |
| 100〜300万円 | 25.6% |
| 300〜500万円 | 8.5% |
| 500〜1,000万円 | 2.6% |
| 1,000万円以上 | 2.9% |
※借入経験者1,526人を分母とする。
100万円以下が約6割を占める一方、100〜300万円の層も4人に1人と厚い。1,000万円以上の高額層は2.9%にとどまり、借入の多くは数十万〜数百万円の範囲にある。
借入を始めた年齢は20代までが約7割
借入を始めた年齢は20代前半が35.5%で最も多く、10代18.1%、20代後半18.8%と続いた。合わせると、約72%が20代までに最初の借入を経験している。
| 借入を始めた年齢 | 割合 |
|---|---|
| 10代 | 18.1% |
| 20代前半 | 35.5% |
| 20代後半 | 18.8% |
| 30代前半 | 11.6% |
| 30代後半以降 | 14.3% |
※借入経験者1,526人を分母とする。
教育費や奨学金が借入のきっかけ・借入先の上位に入っていたことと合わせると、借入は社会に出る前後の若い時期から始まっている。
借入理由は年代と性別で構造が変わる
- 若年は生活費の不足、年齢が上がると大きな買い物・突発的な出費へ
- 女性は生活費・教育費、男性はギャンブル・突発的な出費が目立つ
借入のきっかけは、年代と性別によって構成が変わる。全体の最多は生活費の不足だが、その比重は層によって異なる。
若年は生活費の不足、年齢が上がると大きな買い物・突発的な出費へ
20代では生活費の不足が約3割を占め、最も大きな理由だった。年齢が上がるとその比重は下がり、40〜50代では大きな買い物や突発的な出費が上位に入れ替わる。

| 年代 | 生活費の不足 | 大きな買い物 | 突発的な出費 | 教育費 |
|---|---|---|---|---|
| 20代前半 | 31.4% | 18.6% | 15.7% | 13.7% |
| 20代後半 | 30.5% | 16.7% | 15.8% | 17.7% |
| 30代前半 | 25.3% | 16.7% | 16.0% | 18.3% |
| 30代後半 | 22.5% | 16.9% | 20.3% | 16.1% |
| 40代 | 20.5% | 24.1% | 21.5% | 13.4% |
| 50代 | 19.1% | 24.9% | 23.4% | 11.0% |
| 60代 | 13.9% | 15.3% | 27.8% | 22.2% |
※各年代の借入経験者を分母とする構成比。
生活費の不足は若い世代ほど重く、20代前半では31.4%に達する。一方、50代では大きな買い物が24.9%で最も高く、年齢とともに借入の理由が生活の維持から計画的・突発的な支出へ移っていく。
女性は生活費・教育費、男性はギャンブル・突発的な出費が目立つ
性別でも構成は分かれた。女性は生活費の不足28.0%と教育費20.6%が上位で、ギャンブルは2.1%と少ない。
男性はギャンブル・投機が15.2%と女性の約7倍にのぼり、突発的な出費や大きな買い物も上位だった。

| 借入のきっかけ | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 継続的な生活費の不足 | 28.0% | 16.5% |
| 教育費・学費 | 20.6% | 8.7% |
| 大きな買い物 | 18.8% | 22.4% |
| 突発的な出費 | 16.3% | 23.7% |
| ギャンブル・投機 | 2.1% | 15.2% |
※女性820人・男性678人をそれぞれ分母とする構成比。
女性は生活費と教育費という家庭維持の支出が中心で、男性はギャンブルや突発的な出費の比重が高い。同じ「借金の理由」でも、性別によって背景が異なる。
借入の背景にある「家計の見えなさ」 ― 支出の把握とお金の出入り
- 支出の把握が甘い人ほど、月末の残高不足が増える
- リボ払い・後払いの利用者は残高不足も借入経験も多い
借入の理由の手前には、家計が見えているかどうかという問題がある。本調査では、支出の把握度と月末の残高不足、そしてリボ払い・後払いの利用との間に明確な関連がみられた。
支出の把握が甘い人ほど、月末の残高不足が増える
全2,000人に支出の把握度をたずね、月末に口座残高が想定より少なかった経験(「よくある」「時々ある」)の割合を比べた。把握度が下がるほど、残高不足の経験率は階段状に上がった。

| 支出の把握度 | 残高不足を経験する割合 |
|---|---|
| ほぼ完全に把握している | 36.7% |
| だいたい把握している | 54.4% |
| 大まかにしか把握していない | 70.9% |
| ほとんど把握していない | 79.2% |
※全2,000人を分母とする。
ほぼ完全に把握している人の残高不足は36.7%だが、ほとんど把握していない人では79.2%と2倍以上になる。支出が見えていないことと家計の綻びには強い相関がある。
ただし、どちらが原因かは本調査では特定できない。
リボ払い・後払いの利用者は残高不足も借入経験も多い
支払い手段としてクレジットカードの分割・リボや後払いアプリを使う人は、月末の残高不足を経験する割合が74.8%だった。これらを使わない人の46.8%を大きく上回る。
| リボ・後払いを利用 | 利用しない | |
|---|---|---|
| 月末の残高不足あり | 74.8% | 46.8% |
| 借入の経験あり | 92.5% | 69.7% |
※全2,000人を利用の有無で分けて集計。
リボ・後払いの利用者は借入経験率も92.5%と高い。支払いを後ろ倒しにする手段の利用と、借入や残高不足が同時に現れている。
これも相関であり、リボ・後払いが直接の原因と断定するものではない。なお残高不足を経験した人がその原因として最も多く挙げたのも、カード払いの引落だった(37.7%)。
公的統計が示す借金の背景と総量規制の基礎
- 借入のある世帯はどれくらいか
- 自己破産の原因も生活苦・低所得が最多
- 総量規制は貸金業者が対象、銀行カードローンなどは対象外
本調査の傾向は、公的統計とも整合する。借入の広がりと、その背景にある生活困窮の構図を第三者データで確認する。
借入のある世帯はどれくらいか
金融経済教育推進機構(J-FLEC、旧・金融広報中央委員会)の調査によると、借入金のある世帯は二人以上世帯で19.5%だった(2024年)。借入は珍しいものではなく、一定の世帯が日常的に抱えている。
引用:金融経済教育推進機構(J-FLEC)/旧・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2024年」
自己破産の原因も生活苦・低所得が最多
参考として、2023年の日本弁護士連合会の記録調査を取り上げる。
本調査によると、自己破産の原因として「生活苦・低所得」が65.86%で最も多い(複数回答)。病気・医療費26.44%、生活用品の購入18.00%、失業・転職17.36%が続く。
| 自己破産の原因 | 割合(複数回答) |
|---|---|
| 生活苦・低所得 | 65.86% |
| 病気・医療費 | 26.44% |
| 生活用品の購入 | 18.00% |
| 失業・転職 | 17.36% |
| 浪費・遊興費 | 12.81% |
| ギャンブル | 9.89% |
※複数回答のため合計は100%を超える。
借入の段階でも、より深刻な自己破産の段階でも、最大の要因は生活苦・低所得だった。ギャンブルや浪費は一定数あるものの、主因とまでは言えない。
引用:日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」
【まとめ】データが示す借金の理由の中立的な解釈
最後に、本記事の要点を整理する。
| 論点 | 本調査・公的統計が示すこと |
|---|---|
| 借金の理由 | 最多は継続的な生活費の不足で借入経験者の23.0% ギャンブルは7.9% |
| 借入先 | クレジットカードのキャッシング29.4% 家族親族28.9%が消費者金融より多い |
| 年代・性別 | 若年と女性は生活費 男性はギャンブルや突発的な出費が目立つ |
| 家計の状態 | 支出の把握が甘い人ほど残高不足が多い (36.7%から79.2%へ) |
| 公的統計 | 自己破産の原因も生活苦・低所得が最多で65.86% ※複数回答 |
借金の理由を一言でまとめれば、その多くは浪費ではなく、収入と支出の差を埋めるための生活防衛だった。借入の有無や金額は、家計が見えているかどうかと強く関連していた。
借金は善悪で語られやすいが、データが示すのは家計の収支構造の問題である。理由を個人の責任に帰す前に、支出の把握とお金の出入りを点検することが、借入と向き合う出発点になる。


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